週刊現代2019年3月23日号  「親戚に財産を奪われないための『死後の手続き』と『事前の準備』。  遺言を書くのは必須」

小川法律事務所 記事紹介

週刊現代(講談社)は,かなり以前から遺産相続問題に興味を持って特集を組んでおり,基本的には安心して読める記事が多いように感じます。

今号は,通常取り上げられにくい「親戚」との関係についての記事であり,見ておく価値があります。ただし,10数ページの中に盛り込まれている法律問題は膨大で,ご自身に関係のある箇所だけでもチェックには相当時間がかかるかもしれません。以下,目に付いた記事と,注意すべき点を二三挙げます。

最初に取り上げられているのが代襲相続の問題です。父母よりも先に兄弟姉妹が死亡した場合,その後に父母について相続が生じると,兄弟姉妹の子(おいめい)が相続権を取得するという法律関係です。遺言書を父母に作成してもらい,遺留分の範囲で解決を図るという方法がマスタープランとして示されています。基本的に支持できます。

次に取り上げられているのが子のない夫妻のうち一方が亡くなった場合,義理の父母との間の相続紛争が生じる問題が取り上げられています。法律上,子と配偶者が残された場合に比べ,配偶者の保護が重視されている関係上,配偶者は3分の2の法定相続分を有します(民法900条2号)。この法律上の規定が義理の父母に理解されないことが考えられ,紛争の原因になりかねません。

また,挙げられているこのケースで「姻族関係終了届」に触れられていますが(31頁4段目),この「姻族関係終了届」は相続法とは基本的に関係ない制度ですので十分な注意が必要です。すなわち,姻族関係終了届により,死亡した配偶者とその親との血族関係は消滅しないため,この届出を提出しても義理の親の相続権は無くなりません。姻族関係終了届は,主に扶養義務(民法877条)に関連する手続です。

(「婚姻関係終了届」ではなく「姻族関係終了届」です。精読する必要があります。)

この記事についてはコメントすべき点が多く,今後加筆する予定ですが,重要な注意点についてまずコメントしました。

作成者 弁護士小川中
2019年3月11日


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